ワーケーションの時間を有効に
東京から2時間。
この時間は観光するにはちょうどいいのですが、ワーケーションとして気持ち切り替えるには少し足りないのかも知れません。
もっと創造力を使って、誰も思いつかないようなアイデアを創出したり、
開発中の製品をさらに良くするための考えをチームでまとめたり、
集中力を高めるために、都会の喧騒から離れて、心静かな状態になったり、
空想にふけって、これからの未来をつくる計画を立てたり、
この時間をもっと有効にするには、いつもの日常とは違う非日常の気持ちになることです。
いつもと違う状態は、頭の中が広がって、思いもつかない色々なことが起こり出します。
それには、今までのマインド(気持ち)をリセットすることが有効です。
そこで、新しいマインド状態になれる、新しいマインドにセットできる「マインドセット プログラム」をつくりました。
マインドセットとは
「マインドセット」とは、過去の経験、教育、育ってきた環境、先入観、など、無意識の思考パターンや固定化された考え方のことをいいます。
ついつい、人間は自分の思考のパターンが正しいと思い、それ以外の価値観などは受け入れにくいのです。
場所を変えて仕事をする場合は、その土地のマインドセットに切り替えることで、
いつもの仕事のマインドセットを解放し、新しいことを受け入れて、これまでにない発想や、価値観の変化を促すことができます。
マインドセットは、大きく分けると2つの種類があります。
ひとつは、グロース・マインドセット(Growth Mindset)。
もうひとつは、フィックスド・マインドセット(Fixed Mindset)
ワーケーションで必要なのは、グロース・マインドセット(成長のマインドセット)になります。
マインドセット研究の第一人者であるスタンフォード大学心理学教授キャロル・S・ドゥエック氏によって提唱された概念で、
「人間の基本的資質は努力しだいで伸ばすことができる」という信念・心のあり方のことを指します。
そういうマインドになるためには、自分自身の心に「ゆとり」を作る必要があります。
その「ゆとり」を作るのが、「AWE」という概念です。
AWE体験とは
ストーリー・コーチング、コミュニケーション戦略の専門家カトリーン・サンドバリ、心理学・リーダーシップ関連のジャーナリストであるサラ・ハンマルクランツは、
Awe体験とは、大自然などで“果てしないもの”を前にしたときに、感動、畏怖、驚きの感情が湧きおこることと述べています。
(『Awe Effect〜人生に喜びをもたらす「Awe体験」の効果』(カトリーン・サンドバリ、サラ・ハンマルクランツ著/喜多代恵理子翻訳)/サンマーク出版刊)
果てしなく広がる空の下で「この広大な宇宙に比べたら自分はなんて小さな存在なのだろう」と思う。
あるいは、登山をして頂に立ち、360度に広がる空の下で他の山々の連なりや雲海を見渡し、“ちっぽけな自分”を感じる、など、
大宇宙の悠久さや自然の広大さを前に「自分を小さい」と感じるとき、人は非常に謙虚な気持ちになり、そして素直に感謝の気持ちを持ちます。
その結果、前向きにもなり「世の中のため、誰かのために役立ちたい」という思いを強くするのです。
このとき、脳は通常の何十倍、ときには何百倍も活性化するのです。
この状態をうまく作り出せると、ワーケーション中に受け取る、いつもの環境とは異なる場所から、無数の気づきと情報を受け取ることができます。
Awe体験をした時にどのようなマインド状態になるか、アメリカ・アリゾナ州立大学のシオタ博士は以下のように言っています。
①マインドフルネスを行ったように、何ごともありのままに受け取ることができるようになる
②心と身体をリラックスさせる
③好奇心を引き出す
④人と心のつながりを作る
⑤利他の心を引き出す
⑥身体を健康にする
⑦創造性を引き出す
⑧希望に満ちた状態になる
⑨幸福感が高まる
⑩嫉妬心など、ネガティブな感情が少なくなる
(東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/384287?page=2 より)
このような状態になった時、人間の脳は活性化し、いろいろと新しいものを受け入れられるようになります。
マインドセットプログラムの会場は
伊東の大自然
マインドセットプログラムのワークショップの会場は二つあります。
「山バージョン」は、伊東のシンボルであり、ユネスコに認められている世界ジオパークのひとつでもある「大室山」。
「海バージョン」は、同じく世界ジオパークのひとつの「いがいが根」の海岸。
大室山についてはこちらに詳しく書かれています。
大 室 山
大室山は静岡県伊東市の伊豆高原にある小高い山です。
山頂にはリフトで6分ほどで上がることができます。
山頂からの360度の眺望は、Awe体験を起こしやすく、思考が日常生活から切り離されやすい場所です。
いがいが根
いがいが根は、古代の大室山の噴火の際に、溶岩が海に流れ込んで出来た、変わった地形の海岸です。
詳しくはこちら
いがいが根
https://toyokeizai.net/articles/-/384287?page=2
スマホは置いていく
自分自身の考えで、自分が考えていると思っていても、人間は外部からの影響を多大に受けています。
情報と人間をつなぐものを「メディウム」といいます。
人間は、本来、自分の体験したことしか知り得ることができません。
遠くの場所で起こったことは知るよしもなかったのです。
遠くで起こった事件は、情報と人間をつなぐ(媒介)するものが中間に入って、伝わってきます。
その「つなぐ」もの、媒介している媒体が「メディウム」です。
「メディア」は、その複数形の言い方になります。
この「メディア」によってもたらされている様々な情報が、それに接する人の価値観を作り、マインド形成するのです。
自分の考えでいるつもりでも、メディアからの影響は大きいのです。
その「メディア」に接しすぎていると、脳が疲労してしまうことは、すでにご存知のことと思います。
「メディア」が片時も人間が離れなくなった状態は「スマホ」が作り出しています。
特にInstagram、Facebookに代表されるSNSは、マルチタスクを作り出しやすく、脳が疲弊してしまいます。
伊東のワーケーションにおける、マインドセットプログラムでは、会場となる場所に移動する際は、スマホから離れてもらい、
すべての神経と感覚を、大自然を感じてもらうようにします。
きっとプログラム実行中の1時間に、「スマホ」でメッセージをチェックしたい、とか何か情報を見てみたい、知らないことを調べてみたいという、強い欲求にかられることと思います。
写真が撮れないのは残念なのですが。
大自然の中でひとりの時間を過ごす
マインドセットプログラムの会場に着いたら、数十分をお独りで過ごしてもらいます。
他者と会話をせず、自分自身と自然とダイレクトに対話をする時間になります。
簡単に外からの情報を入手できるスマホがない状態で、誰とも会話をしないで自然の中にいることは、現代社会ではほとんどありません。
この特異な状態で様々なことを感じてもらいます。
多くの方は、その人なりの多くの気づきを得ることができます。
しかし、残念ながら、このプログラムが合わない方もいらっしゃいますが、そういう方は、合わないご自分を感じることで、新たな気づきを得てもらい、
次のプログラムにつなげてもらえれば思います。
大自然を感じる
何百年もかけて、波に押されて、周囲の岩にぶつかり削り取られ、丸く磨かれた石。
「ポットホール」と呼ばれる自然現象の中で、穴の中に石がそのまま残っているのは珍しいそうです。
かんのん浜 ポットホール
最後に言語化
スマホから離れて、大自然の中に身を置き、自分自身との対話、自然との対話をすることで、かなりの気づきがあります。
しかし、それを自分の中から表出しないと、いろいろなものを感じた時の感覚が定着しません。
このプログラムの最後は、グループ内で、それぞれが感じたこと、気づいたことを言葉にして共有するワークをしてもらいます。
ここで共有される多くの気づきは、以下のことが多く、身体的に感じる方が多いと思います。
・風の音を感じた
・遠くの街の音が聞こえた
・日差しの暖かさを感じた
・草の重なる音が聞こえた
・空気よりも地面の方が温かく感じた
など、喧騒の都会ではなかなか気づくことのできない微細な変化を感じることができました。
この微細な変化をキャッチできる繊細な感覚の状態で、ワーケーションにのぞんでもらえると、本当に多種多様な情報や気づきを感じることができます。
プログラムの結果
伊東市のワーケーションプログラムにご参加いただいた企業の方にアンケート調査を通じて、このプログラムの感想をいただきました。
抜粋して掲載させていただきます。
- 自然を感じる時間をあえて作っていただくのは導入として良いと思いました 。
- 大室山のプログラムは、普段スマホを持ち歩いて写真を撮ることにも無意識に気を集中していたが、今回一切携帯しなかったことで、よりその場所自体を体験しようとする意識になり、普段のデジタルに囲われた時間から解放された感じがあって個人的には良かった。
- 大室山に登り地域を知り、日常業務から離れてリフレッシュすることができた。
- いがいが根のマインドセットに関して 自分の業務に直接的に影響したかと問われると否となってしまいますが、今回のワーケーションプログラムの導入としては必要なプログラムだったと感じます。
- イガイガ根では非日常と心の開放を最初に行っていただけたことはよかったと思います。
- イガイガ根のプログラムは自然を感じ自分に向き合えて非常に良かった。
- 自然を感じることでリセットされた感があり、のびのびとアイデア出しが出来たと思います。
プログラム造成
伊東ワーケーションのマインドセットプログラムは、
伊豆高原を中心に伊東市のワーケーションを牽引する 一般社団法人 伊豆高原観光オフィスが中心となり、
株式会社カラーコード、株式会社コーチ&パートナーズなどが、自分たち自身がワーケーションを体験し合宿し多大なアイデア創出の中から
作り上げたプログラムになります。
このプログラムのおかげで、厳しい倍率だった「観光庁 企業ニーズに即したワーケーション推進に向けた実証事業」に採択されたのだと思います。
ファシリテーター
このプログラムのファシリテーターは、ビジネスコーチのプロで、ミッションメンタリング協会理事の河合由紀さんです。
人を気負いさせることなく、優しく促すファシリテーションの技術はとても高く、参加した皆さまからも好評です。
これから活躍する伊豆高原観光オフィスの地域コーディネーターたちも、このプログラムのファシリテーションをしていきますので、どうぞよろしくお願いします。
このプログラムに関する質問は、どうぞお気軽にご連絡ください。